大動脈瘤の専門医 日本で唯一の大動脈専門医療センター

医師・スタッフの紹介

大動脈瘤を指摘されたら?

病院などを受診して「あなたは大動脈瘤です」といわれたら…

一般の病院で「大動脈瘤です」という診断を受けても、必ず大動脈診療に実績のある川崎大動脈センターを受診し、正確な診断を受けてください。はじめの病院で「手術が必要」と診断された患者さんが、実際は手術不要であったり、また逆に「だいじょうぶ」と言われていた患者さんが、すでに手術の時期を逸していたということが頻繁に見受けられます。違う病院での診察を受けることはセカンドオピニオンと言って一般に行われています。

正確な診断と適切な治療が可能です。

大動脈瘤の診断はCT検査によって行います。また、治療方針の決定(治療が必要かどうか? 治療が必要ならばどのような治療が可能か?)もCT検査の結果で解ります。いずれの場合にも、ひとりひとりの患者さんの状態を正確に診断して、ひとりひとりの患者さんの病態に合った最善の治療法を選択していきます。

大動脈センター・コーディネーターまでご連絡下さい。

川崎大動脈センターでは「丁寧な大動脈診療」を実践しています。ご連絡をいただいた際に、コーディネーターが外来の受診案内を致します。外来診療では、治療担当医(手術執刀医等)が直接、ひとりひとりの患者さんに病気の状態、最適な治療方法などを説明します

イメージ図

まずは、下記連絡先にお電話にて
お問い合わせください。

044-544-4611(代表)

川崎大動脈センターコーディネーターまで

コーディネーターが対応いたします。

診療の流れ

お電話による予約

約1週間

初診外来(1日)

約1~2週間

検査入院(2泊3日)

約2~3週間

入院・手術
リハビリテーション
退院

約2~3週間

退院後の定期検診

お電話による予約

初診外来のご案内、ご予約をいたします。
初診外来は毎週土曜のみ、第二川崎幸クリニックにて行っています。

初診外来(1日)

画像診断・血液検査・呼吸機能検査等を行い、どのような治療が適切なのかを検討します。
担当医による面談では、治療方針等を説明します。

検査入院(2泊3日)

初診外来で行わなかった検査等を行います。
手術内容やリスクを詳しく説明します。

入院・手術 / リハビリテーション / 退院

入院の翌日あるいは翌々日に手術となります。
手術後は当センター集中治療室(ACU)で集中治療を行い、その後は社会復帰に向けたリハビリテーションを行います。

退院後の定期検診

退院後の定期検診は、3か月後、(必要があれば6か月後、)1年後、その後毎年行います。

川崎大動脈センター外来を受診下さい

受診の注意点は下記の通りです。

  • 外来は完全予約制です。コーディネーターまで御連絡下さい。コーディネーターが予約調整をおこないます。
  • お電話をいただいたあと、当センターより外来受診のご案内を郵送いたします。
  • 外来では診断に必要な検査をおこない、その後担当医の診察・診断・治療説明をします。したがって、過去の資料を持参されなくても診察は可能です。
  • 患者さん本人が受診できない場合は、ご家族によりCT等の画像をお持ちいただければ、治療方針を検討・ご連絡いたします。

紹介状は?

紹介状は不要です。ただし、現在通院中の病院の資料をお持ちの方はご持参ください。

セカンドオピニオンは?

当センターでは、セカンドオピニオン外来を併設しています。セカンドオピニオン外来をご希望のかたも、コーディネーターにご連絡下さい。

外 来

外来では、検査や画像にもとづいた正確な動脈瘤の診断をおこないます。まず、初診時に血液検査、呼吸機能検査、CT検査(すでに他の医療機関でCTを撮影された方はおこなわない場合があります。)等の検査をおこないます。
その後、担当医による診察があります。全てのデータをもとに、大動脈瘤の有無、程度、治療方針などをお話します。手術が必要と診断された方は、ご家族・ご本人と相談のうえ、ご希望の入院日・手術日を決定します。また、担当医より手術方法や手術の危険性について説明をさせていただき、これについての質問にお答えします。 このすべてのプロセスを外来日一日でおこないます。外来に要する時間は、すべての検査が、およそ2時間、治療方針の説明(担当医との面談)が、一人あたりおよそ1時間です。

入 院

入院は原則として手術の2~3日前にしていただきます。手術に必要な検査はすべて外来時におこなっています。手術の当日に担当医より、もう一度、手術についての説明をいたします。

手 術

手術当日は朝9時より手術がはじまります(一部の手術は午後から始まることがあります)。手術中は御家族の方は患者家族控え室でお待ちいただきます。手術時間は目安として、腹部大動脈瘤が約1-2時間、上行・弓部大動脈瘤が約5~7時間、遠位弓部・下行大動脈瘤が約3~5時間、胸腹部大動脈瘤が約6~8時間です。
手術室では麻酔や準備の時間もありますので、手術が終了して患者さんが実際に手術室から戻る時刻は、腹部大動脈瘤が午前12時ころ、上行・弓部大動脈瘤が午後4~6時ころ、遠位弓部・下行大動脈瘤が午後2-4時ころ、胸腹部大動脈瘤が午後5~7時ころとなります。
手術が終了しましたら、担当医より手術内容についての説明をさせていただき、その後、面会をしていただきます。

手術終了後は川崎大動脈センター集中治療室に戻ります

当センター集中治療室(ACU: Aortic Care Unit )は日本で唯一の大動脈疾患治療の専用ユニットです。
全国より集まった大動脈疾患看護のエキスパートである専属看護師が担当します。手術の当日または翌日に人工呼吸器をとりはずします。したがって、翌日の面会時間には、ほとんどの患者さんはお話ができます。翌々日には食事とリハビリがはじまります。腹部大動脈瘤は約1週間、胸部大動脈瘤は約2週間、大動脈解離は約3週間の専門リハビリテーションをおこないます

A:胸部大動脈手術の術後

胸部大動脈手術の術後入院期間は、およそ2~3週間です。はじめの1~2日間はベッドですごしますが、その後歩行リハビリテーションが開始になります。5日目にシャワー入浴をおこない、約2週間のリハビリテーションをおこないます。

当日

手術が終わってもすぐには目がさめません。心臓手術の麻酔は通常の麻酔よりも深いため、当日の夜遅くか、あるいは翌日に目がさめます。目がさめても、呼吸に必要なチューブが口に入っていて、人工呼吸器が接続されているため、話ができません。この時点では、無理に呼吸をしようとせず、体の力を抜いて、ゆっくり人工呼吸器にあわせるようにします。

1日目

目がさめると看護師が気管内の痰を吸引します。医師あるいは看護師が呼吸をするように指示したら、ゆっくり呼吸をしてください。十分な呼吸ができれば、口のチューブを抜去します。その後は、しっかりとした呼吸をこころがけ、自分で痰を出すように努力してください。

1~2日目

点滴や、体に入っているいろいろなチューブが抜けてゆきます。できるだけ、体を起こし、正しい姿勢で座るようにしてください。ベッドサイドで立ったり、少し歩くこともしていただきます。食事もこのころに始まりますが、はじめはうまく飲みこめませんから、気管に入らないように慎重に飲みこむようにしてください。

1~3日目

歩くのがやっとというところですが、頑張ってリハビリをすることにより、呼吸状態も安定して、全身の回復が促進されます。術後は肺に痰がたまり、これをうまく排出しないと肺炎をおこす可能性があります。これを防ぐためには、
1.しっかりとした呼吸練習
2.確実な排痰
3.体をおこし座ること
4,起立歩行
が欠かせません。
抗生物質はあくまで補助的なもので、肺炎の予防は患者さんの心がけしだいということもできます。

リハビリが始まったら

リハビリが始まったからといって、安心は禁物です。呼吸練習、歩行練習をつづけ、早期退院を目指してください。大動脈・心臓の手術の後は、“大事をとって休養”と考えがちですが、日中もベッド上という生活は回復を遅らせることになります。昼間はできるだけイスに座るような生活を心がけてください。手術からの回復は直線的によくなっていくものではありません。たとえば、3日目まではよくなったのに4日目になったとたん、食欲はなくなるし、夜は眠れず、このままどんどん悪くなっていくような気がすることがありますが、それは回復過程ではしばしばあることです。それまでのリハビリを含めた生活を維持するようにしてください。1~2日で体調はよくなってきます。 自宅に退院した後も病院でおこなっていたリハビリを必ずつづけてください。一日リハビリを怠ると、それまでのリハビリが無意味となり、急に体調が悪くなることがあります。退院後の経過をみるために当センターの外来診察があります。それまではしっかりとリハビリに取りくんでください。

B:腹部大動脈手術の術後

腹部大動脈手術の術後入院期間は、およそ10日間です。手術創は自然に吸収される糸で縫合されていますので、抜糸の必要はありません。また、体をうごかしても手術で吻合した部分が問題となることはありません。できるだけ早く体をうごかし、リハビリを進めることで、体の回復が促進されます。

当 日

手術室で目がさめます。呼吸のための口の管を抜き、一般病室にもどります。腹部の創はつよい痛みがあります。このため、呼吸が浅くなりがちですが、がんばって、大きな呼吸をして、痰をだすようにしてください。

1日目

点滴はほとんど抜けます。朝から、トイレ歩行を開始し、午後には歩行リハビリを開始します。昼または夕より、食事を開始します。傷の痛みや熱がありますが、けっしてベッドで休むことなく、体をおこし、正しい姿勢ですわるようにしてください。正しい姿勢ですわることが、肺炎を予防することになります。

手術が終わり7日目~14日目で退院となります

患者さんご自身には多少の不安があると思いますが、自信を持って、自宅でのリハビリをおこなってください。術後1週間を過ぎたら、入浴ができます。

退院後の生活

退院後は、それまで通院していた医院や病院で診療を続けていただき、投薬等を受けていただきます。

食事

食事に関しては大動脈の手術を受けたあとだからといって、特別なことはありません。つまり、食事が大動脈の手術に何らかの影響をおよぼすということは、まったくありません。したがって、手術の後だからという理由で、食事を制限したり、あるいは“これは、食べてはいけないのでは?”と心配する必要はありません。また、よくいわれる“塩分のとりすぎに注意”ということもあまり神経質に考える必要はありません。患者さんのご家族の中には、食事の塩分を過剰に制限したため、患者さん本人の食欲がなくなり食事がまったくとれないということも、しばしばおこっています。極端に塩からいもの、極端に脂っこいものはいけませんが、ご本人がおいしいと思われる食事を適度にとることが肝要です。
ただし、次のことは考える必要があります。

何らかの治療上の理由で、食事を制限されている場合

糖尿病、腎臓病などの疾患により食事制限を受けている方は、退院後も、それまでの食事療法を継続しておこなう必要があります。糖尿病の場合は、手術のあとは、それまでの糖尿病治療薬の量が少なくてすむことがあるので、主治医とよく相談をして、食事療法をおこなう必要があります。また、手術において、人工弁を体内に入れた患者さんはワーファリンを内服しているため、ワーファリンに対する食事制限があります。
人工弁を使用した患者さんはワーファリン治療の説明を主治医あるいは看護師より受けてください。

将来に起こる可能性のある生活習慣病に対する予防

大動脈の疾患は動脈硬化に原因がある場合が多く、これは生活習慣(特に喫煙と食事)が原因になっている可能性があります。大動脈の手術を受けた後でも、その他の重要血管(脳や心臓)に動脈硬化の影響が出る可能性は十分あります。一般的な、動脈硬化を予防するといわれている生活習慣を実践することが肝要です。

喫煙

喫煙は呼吸機能を損ない、また動脈硬化の促進因子として非常に悪影響を及ぼします。従って、せっかく手術のために禁煙したのですから、その習慣を続けることは大きなメリットになります。しかし、患者さんの中には、ご高齢で“タバコが唯一の楽しみ”という方もいらっしゃいます。
確かに喫煙は体に害を及ぼしますが、そのことが受けた手術に問題を起こすことはありません。従って喫煙に関しては、ご本人ご家族も含め十分お考えになり、喫煙するか、禁煙を続けるか決めていただく必要があります。

血圧

血圧の管理もあまり神経質になる必要はありません。血圧が高くなったからといって、手術した人工血管に影響がでることはありません。ただし、現在の高血圧は、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上ということになっていますので、これ以上の血圧の方は、動脈硬化の予防という点から降圧治療を継続することが望ましいです。少なくとも一週間に一度、自宅や病院で血圧を測り、かかりつけの病院で適正な血圧を維持するような治療をすることが大切です。

運動

運動が手術に影響を与えることはまったくありません。ただし、骨(胸骨や肋骨)を切っていますので、骨が完全につくまでにはおよそ3ヶ月必要です。
この期間はあまり過激な運動は避けてください。3ヶ月が過ぎれば、過激な運動も可能です。それまで、制限されていた水泳やゴルフ、柔道でも、可能です。

入浴

手術前におこなっていた、自分にあった入浴をしてください。入浴自体が手術に与える影響はありません。温泉も楽しんでいただいて結構です。

遠方から来院される方は?

川崎幸病院大動脈センターを受診される患者様の多くが遠方(他県)からの患者様です(都道府県別患者)。当センターでは、遠方の方も安心して治療が受けられるシステムを行っています。ご本人だけでなくご家族に対するサポートもありますので、詳しくはコーディネーターまでお問い合わせ下さい。

郵送によるCT画像診断

ご本人のCT画像(フィルム、CD等)をお持ちの方は、外来受診を前提に郵送によるCT画像診断が可能です。郵送によるCT画像診断をご希望の方は、必ず事前にコーディネーターまでご連絡下さい(ご連絡無しの郵送についてはお受けできません)。今後の診療に必要なアドバイスをいたします(診断結果の説明は外来診療時に行います。お電話での説明はできません)。ただし、CTの撮影条件によっては診断ができない場合があります。なお、取り扱う画像はCTのみです。

受診案内を事前にご自宅まで郵送

当センターの外来受診をご予約頂いた時点で、受診案内をご自宅に郵送いたします。川崎幸病院大動脈センターの概要、交通手段、地図、受診時間等のご案内を同封します。

ご本人またはご家族のみの外来受診も可能です

外来ではCT検査およびその他の結果を基に、ご本人の病態や今後の治療方針などについて説明します。ご本人のみが受診され、手術等の治療が必要となった場合には、後日改めてご家族に対する説明を行います。また、ご家族のみの受診の場合には、ご本人の大動脈瘤に対して、診断ができるCT画像が必要となります。

ご本人の外来受診が不可能な場合は直接入院も可能です

事前にご家族の外来受診(ご本人のCT画像が必要)があり、なおかつ当センターでの手術が決定した患者様に限り、直接入院ができます。手術を前提としない、あるいは手術の必要のない方の直接入院は行っておりません。

手術後のご家族の付き添い、通院は必要ありません

当センターでは、24時間、医師および看護師が患者様の管理を行っています。付き添いなどで、ご家族が医療行為等に参加することはありません。また、手術直後は集中治療室で経過を診ていきますので、お見舞い等で頻回に通院する必要もありません。

外来予定表

午前
10:00~12:00

随時

随時

随時

随時

随時

初診

随時

午後
12:00~

随時

随時

随時

随時

随時

初診

随時

※紹介状は不要です。
※完全予約制です。コーディネーターまでお電話をお願いします。(またはお問い合わせ_より)
※土曜日以外もご希望により外来診療を行います(随時)。コーディネーターまでご連絡ください。
※川崎大動脈センターの外来は、“第二川崎幸クリニック”で行っております。 川崎幸病院での外来診療はありませんのでご注意ください。
※外来では、はじめに血液検査、CT検査(CTをご持参される場合には行わないことがあります)、呼吸機能検査等をおこない、その結果をもとに医師の診察があります。来院後、検査が約2時間、医師の診察・病状説明が約1時間となります。

流れ

地図

セカンドオピニオン

川崎幸病院・川崎大動脈センターではセカンドオピニオンを積極的にお受けしています

現在、大動脈瘤を専門とする医師は非常に少なく、心臓血管外科医や循環器内科医でも正確な大動脈瘤の診断ができないことがあります。大動脈瘤の診療は命に関わる重要な事項です。現時点でかかりつけの病院から「大動脈瘤」あるいは「大動脈解離」といわれている患者さんには、当センターでのセカンドオピニオンを受けられることを推奨しています。

紹介状は不要です

セカンドオピニオンという概念は一般的になりましたが、まだまだ「自分の患者さん」が、他の医師の意見を求めることに抵抗を覚える医師はすくなくありません。しかし大動脈瘤は治療の選択を誤れば死につながる病気です。かかりつけ医に紹介状を依頼しにくい場合もあります。当センターでの受診には紹介状は必須ではありません。CT写真を持参できない患者さんについては当センターで、受診日にCT検査をおこないます。

治療費について

治療費は保険が適用になりますので、全国同一の費用となります(全国どこの病院でも治療費は同じです)

2012年4月 現在

治療費

限度額適用認定証とは・・・

1) 医療費が高額になった場合、患者様の収入に応じて窓口負担額をお支払いいただく制度です。
2) 70歳未満の患者様は限度額適用認定証をお持ちいただいた場合、上記の金額が窓口でお支払いいただく目安となります。

限度額適用認定証とは・・・

1) 国民健康保険、社会保険に加入されており滞納がない方が利用出来る制度です。
2) 患者様の月収平均額によりお支払い額が異なります。(ア・イ・ウ・エ・オ)
3) 70歳以上の方は限度額適用認定証は不要です。
4) 限度額適用認定証を使用しない場合、通常通りの3割負担となり高額となります。

★上表の概算には、食事代や雑費(オムツ代等)が含まれておりません。また治療内容、薬剤使用状況、時間外・休日緊急手術等により金額が大幅に異なる場合がございますので予めご了承ください。尚、上表の金額はお支払い額の平均額です。 ご不明な点がございましたら、入院会計担当までご連絡ください。

例)65歳の方が限度額適用認定証((ウ):月収平均額が28~50万円の患者様)を使用し弓部大動脈瘤切除術を施行し、4月・5月と2ヶ月間入院した場合

4月・・・\150,000
5月・・・\150,000

合計 \300,000 + 食事代や雑費
をご負担いただくことになります。

よくある質問

実際に患者さんから出された質問を掲載します。

診断・病気について

Q.近くの病院で動脈瘤と診断されたのですが、手術しないといけないのでしょうか?

A.動脈瘤と言っても、場所・大きさ・形態などさまざまです。術が必要かどうかは動脈瘤の治療実績のある病院を再度受診して判断してもらう必要があります。

Q.動脈瘤は遺伝するのですか?

A.現時点では遺伝しないと考えられています。

Q.動脈瘤が大きくならないためにはどうしたらよいのですか?

A.血管に正常な血圧の負荷がかかっている以上、大動脈は常に大きなストレスにさらされています。また、加齢とともに血管の老化現象も進みます。血管の老化を遅くすることはできても、それを止めることはできません。

Q.血圧を下げておけば破裂しないと聞いたのですが…。

A.血圧が高い状態が続くと血管の動脈硬化が進行します。したがって、大動脈瘤の有無にかかわらず血圧の治療を行うことは必要です。しかし、血圧を下げておけば破裂しないということはありません。

Q.患者の家族です。患者本人は手術を嫌がっています。手術を受けるように説得してもらえませんか?

A.医師は患者さんを説得することはできません。医師は手術の必要性と効果をお話することにとどまります。手術を行うためには、あくまでもご本人に納得してもらうことが必要です。

Q.いま診てもらっている病院では「手術は不可能」といわれています。どうしたらよいのでしょうか?

A.どのような理由により「不可能」と診断されたのかが重要です。一つの病院で不可能と言われても、他の病院では可能であると言われることがあります。セカンドオピニオンを受けることをお勧めします。

Q.今の主治医は、私の大動脈瘤の治療についてはっきりとしたことを言ってくれません。どうしたらよいのでしょうか?

Q.大動脈瘤の診断を受けてから3年たちます。半年毎にCT検査を受けていますが、毎回「経過を見ましょう」と言われるだけで不安なのですが…。

A.現在の治療や主治医に対して不安があるのであれば、セカンドオピニオンを受けることをお勧めします。担当医より「経過を見る」といわれている場合、正確な診断と対応がなされていないことがありますので注意が必要です。

Q.去年、最初にかかった病院で4cmの腹部大動脈瘤という診断を受けました。今年、別の病院で診てもらったら5cmになっていると言われました。1年で1cmも大きくなったのでしょうか?

A.病院や医師が異なると大動脈の大きさの測定にも差がでます。従って、同じ病院で同じ医師により経過を見てもらうことが大切です。

Q.石灰化の強い大動脈瘤は破裂しないと聞きましたが本当ですか?

A.そのようなことはありません。

Q.近くの病院で「大動脈瘤」と診断されました。破裂したら死亡すると聞き、不安でたまりません。

A.実際に破裂の危険性のある大動脈瘤なのか、それとも治療の必要のない大動脈瘤なのか、詳細な診断が必要です。大動脈瘤の治療実績のある病院を受診してください。

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年 齢

Q.高齢なのですが手術に耐えられる体力がありますか?

A.手術に耐えられる体力という指標は医学的にはありません。年齢にはかかわらず個々の臓器の機能を医学的に評価し、手術が可能かどうかの判断を医師が行います。

Q.母は90歳なのですが手術は受けられますか?

A.手術適応は暦年齢だけで決定されるものではありません。ご本人の臓器機能が重要です。90歳だからという理由だけで、手術を受けられないということはありません。

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病 院

Q.近くの病院で大動脈瘤の手術を受けようと思うのですが…。

A.大動脈瘤の治療はきわめて専門的な治療です。日本では心臓血管外科の中に含まれますが、同じ心臓血管外科医でも動脈瘤の治療経験がほとんどない外科医もいます。自宅の近くだから、評判良い病院だからというだけの理由で、その病院で大動脈瘤の治療を受けることは適切ではないことがあります。大動脈治療の実績が豊富な病院を選択することが大切です。

Q.近くに心臓外科で有名な病院があります。そこで手術を受けて大丈夫でしょうか?

A.具体的なお答えはできません。大動脈手術の実績をきちんと調べてから手術を受けることをお勧めします。

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受 診

Q.紹介状がないのですが、診てもらえるのでしょうか?

A.紹介状がなくても受診できます。コーディネーターまでご連絡ください。

Q.患者本人は入院中です。家族だけの受診は可能でしょうか?

A.可能です。ただし、大動脈瘤の診断には全身のCT写真が必要です。特に手術方法を決定するためには造影剤を使用した造影CTが必要です。超音波検査では正確な診断ができないため、ご家族のみ受診される場合には、患者さんご本人のCTをご用意ください。

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入 院

Q.手術の後、付き添いができないのですが、完全看護でしょうか?

A.基本的に病院は面会時間以外は病室に入ることができません。もちろん、看護師等の医療者が24時間管理を行っていますので、ご家族の方が付き添うことはありません。

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手 術

Q.大動脈瘤の手術を一ヶ月後に控えています。できるだけ安静にしていたほうが良いのでしょうか?

A.手術の後はリハビリテーションが重要です。術前より軽い散歩などはしておいてください。

Q.胸部大動脈瘤の手術を受けることになっています。心臓を止めたり、体温をすごく下げたりするそうですが、大丈夫なのでしょうか?

A.胸部大動脈瘤手術のうち弓部大動脈にかかわる手術は心臓を止めて体温を下げて手術をします。ほとんどの心臓手術は心臓を止めて手術を行いますし、体温を下げることも一般的です。これらの方法は心臓外科の領域ではごく一般的な方法なのです。

Q.手術すると寝たきりになると聞きましたが…。

A.おそらく、弓部大動脈置換手術の合併症の一つである脳梗塞が生じた場合の事だと思います。しかし、現在ではこの合併症の発生はほとんどありません。当センターではおよそ1%の発生率(2005年)でした。

Q.手術をすると下半身不随になるといわれたのですが…。

A.おそらく、胸腹部大動脈置換手術についての説明と思います。胸腹部大動脈手術のうち、ほとんどすべての大動脈を人工血管に置換するⅡ型という手術の場合には、対麻痺の発生の可能性がありますが、最近ではこの合併症も頻度は低く、また、それ以外の胸腹部大動脈瘤手術でも発生率は改善しています。いずれにしても、担当の医師に正確なご本人の状態を見てもらうことが大切です。

Q.人工心肺を使わないで手術してください。

A.心臓の冠動脈手術で行われているオフポンプ手術(人工心肺を使用しない手術)のことを言われているのだと思います。しかし、大動脈の手術は心臓の手術とはまったく違い、その術式にあわせて必要な人工心肺装置を使用します。このような、手術方法についての患者さんの誤った理解が最近増えています。

Q.血液を提供してくれる家族がいないのですが…。

A.現在供血者採血はほとんど行われなくなりました。日赤の血液の安全性が非常に高かまったため、すべての輸血用血液は日赤血を使用しています。当センターでもご家族や知人からの血液提供は受けておりません。

Q.人工血管を入れると拒絶反応は起こるのですか?

A.現在の人工血管は化学繊維でできており拒絶反応は起こりません。しかし、少量のタンパク質を使用している人工血管もあり、このようなタンパク質に反応して手術後早期に発熱などの軽い症状が出る場合があります。当センターでは2008年より、タンパク質等の有機物質を一切使用していない人工血管を使用しています。

Q.手術をしたらいろいろな合併症が起こると聞きましたが…。

A.手術合併症に関しては手術の前にご本人ご家族に対して可能性のある合併症のほとんどについて説明します。いろいろな合併症の話を聞くことになりますが、現在は合併症の発生頻度は低くなっています(多いものでも数%)。

Q.私の手術の成功率は何%ですか?

A.これから手術を受けられる患者さん個人の手術成功率については不明です。私たちがお話しできるのは過去においての施設の成績や、報告等についての手術死亡率のみです。

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術 後

Q.大動脈瘤の手術を受けた後、人工血管が入っている状態で運動などはできますか?

A.もちろんできます。人工血管は最終的には組織となじんで自分の血管と同じように機能します。

Q.人工血管は何年くらいもつのでしょうか?

A.人間の寿命と比べればはるかに長い耐久性があります。したがって、一度手術をした患者さんが、何年後かに人工血管を取り替える手術をする必要はありません。

Q.手術後、どれくらいで仕事に復帰できるのでしょうか?

A.あくまでも個人差がありますが、胸部大動脈瘤手術の場合は、経過が順調ならば退院後およそ1-2週間でデスクワーク程度の仕事ならば可能となります。

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費 用

Q.手術の費用はどれくらいかかりますか?

A.年齢、使用保険、手術術式、入院期間によりさまざまです。費用をお知りになりたい方には、大動脈センター外来を受診後、医療事務員が概算をお知らせすることができます。

Q.手術の費用が心配です。お金が払えないと手術してもらえないのでしょうか?

A.各保険では限度額申請という制度があります。この制度を申請すれば、自己負担の限度額が決定されそれ以上の費用については補助されます。限度額申請については各保険機構にお問い合わせください。

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正しい病院の選び方

  • 川崎幸病院・川崎大動脈センター センター長・心臓血管外科部長 山本晋
  • 日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科 病院講師・医局長 圷 宏一
川崎幸病院・川崎大動脈センター
センター長・心臓血管外科部長 山本晋

患者さんはご自身の治療を受ける病院を選ぶ権利を持っている一方、正しい治療を受けられる病院を選ぶことは容易ではありません。
テレビや新聞・雑誌などのメディア、あるいはインターネット上の医療サイトや個人サイトでは不正確な情報が氾濫しているため、それだけで適切な病院を選ぶことは困難です。
当センターの外来を受診する患者さんの中には、氾濫する情報から適切とは言えない医療機関を受診した結果、誤った治療方針を示された方や、不適切な治療を受けられた患者さんが少なくありません。
以下に、患者さんご自身が病院を選ぶ際に、参考にしていただきたい指針を示しました。
患者さんご自身が、短い外来診察時間内に必要十分な情報を得ていただくことを目的にしています。
しかし、最終的には患者さんご自身が不明な点や心配な事項を担当医師に直接確認する以外にありません。
正しい診療を行っている病院・医師であれば誠実に答えてもらえるはずです。逆に、曖昧な回答や不誠実な対応をする病院・医師は今後ご自身の治療を行っていく上で適切な病院とは言えません。

1:治療実績の多い病院を選ぶ。

近年、多くの病院が病院ホームページで手術件数を公表するようになりました。
受診前には必ずその病院の治療実績(1年間の大動脈瘤手術件数等)を確認してください。
公表していない病院を受診する際は、外来担当医に治療実績を確認することが必要です。
大まかな目安として胸部大動脈手術、腹部大動脈手術、ステントグラフト内挿手術が年間それぞれ100件以上、合計300件以上行っている病院であれば十分な実績のある病院と言えます。
一方、大動脈瘤の合計手術件数が年間100件以下の病院は治療を受ける上で適切とは言えません。

2:手術実施医(いわゆる執刀医)が外来を担当している病院を選ぶ。

実際に手術を行っている医師であれば、患者さんの細かい質問や不安に対して適切な回答をすることができます。
また、直接執刀医と話をすることで、その医師の手術に対する姿勢や考え方を理解でき、手術に対する不安が軽減されます。

3:診断・治療方針を明確にした上で、十分な説明を行う病院を選ぶ。

当センターを受診した患者さんのご意見で非常に多いのが、「これまでかかっていた病院では、はっきりとした病状を説明してもらえなかった」「治療方針を明確に示してもらえなかった」というものです。
治療実績の少ない病院・手術経験の少ない医師は、患者さんの診断や治療に対して自信を持った回答ができません。
検査結果、特にCT検査の画像を患者さんに示しながら診断や治療方針をはっきりと説明する病院は、適切な治療を行っているといえます。

参考:大動脈疾患の治療を受ける上で適切とは言えない病院

  1. 治療実績が少ない、あるいは公表していない
    診断や治療のように、一定レベル以上の能力を必要とする手技は経験によって支えられています。一概に手術件数だけで判断はできませんが、手術経験の多い医師がその手術により習熟している可能性は大きいといえます。また、実績を公表しない病院は、実績が極端に少ない可能性があります。
  2. 治療方針が曖昧
    その治療に精通していなければ明確な治療方針を患者さんに示すことはできません。
  3. 十分な説明を行わない
    同様に、患者さんに納得できるような説明ができない医師は、治療に精通しているとはいえません。
  4. 年齢だけを理由に治療を勧めない
    患者さんの治療に関して、一つの条件だけを理由に手術を行わないという事は稀です。総合的判断に基づいた治療方針の決定が必要です。
  5. 手術の危険性(リスク)をことさら強調する
    リスクを強調することにより、患者さんの側から治療を断念させる、あるいは問題が発生したときの予防策をあらかじめ講じていると考えられます。
  6. 手術またはステント治療の一方的優位性を強調する
    はじめから手術以外やらないという病院はステント治療を実施していない可能性があります。また、ステント治療の方が体に対する負担が少ないと強調する病院は手術の実績が少ない可能性があります。手術・ステント治療の選択肢を示し、どのような理由でどちらの治療を選択するのかを明確に提示する病院を選択して下さい。
  7. 治療スケジュール(手術日等)をなかなか決定しない
    数か月に一度の外来受診のたびに、「手術は今度の外来で考えましょう」という回答を繰り返す病院があります。明確な治療方針を決定できないと考えられます。
  8. 外来担当医が毎回変わる
    大動脈疾患、特に大動脈瘤や慢性大動脈解離は年単位で病状が進行していきます。受診をするたびに担当医が替わっている病院では、継続的な診療が行えない可能性があります。
日本医科大学付属病院
心臓血管集中治療科 病院講師・医局長 圷 宏一

大動脈瘤の侵襲的治療をどこに依頼するか?―医師の視点から―

私は血管内科医師です。
自分で侵襲的な治療を行わない私は、適応があるときには侵襲的治療を第3者にゆだねることになります。
自分の患者さんの「侵襲的治療をどこに依頼するか」は極めて重要です。それは患者さんの生死を分けることになるからです。
予定手術は緊急手術と違って、元気に歩いて入院します。したがって、手術がうまくいかなかった場合には、「あの手術さえしなかったらこんなことにはならなかったのに」、ということになるわけです。
つまり紹介する側は患者さんの運命を紹介先に託すわけで、少しでも患者さんにとって「いい施設」に紹介したいと思っています。ではどういう施設が本当の意味で「いい施設」なのでしょうか?

1:何もしないことを治療の選択肢に入れてくれる施設

大動脈瘤の治療は大別すると、手術をする、ステントグラフトを内挿する、などの侵襲的治療の他に(今は)手をつけないで内科的に降圧治療をしつつ経過観察をする、の3つに分けられると思います。
私はこの3つ目を大切にしています。つまり、「まず侵襲的に治療ありき」ではなく、「内科的に経過観察をしたときの破裂の可能性は、本当に治療のリスクを上回るのか? 手術をすれば完全に元に戻るまで半年はかかるので、破裂までの時間が長くなくてもこのままに経過をみて、その時間を大切にするほうがいいのではないか?」などを考えるべきであると思います。
この判断は明らかなケースばかりではありません。手術の成績ばかりがクローズアップされますが、あえて侵襲的治療をしない選択も含めて、患者さんに説明したうえで、その先にある「手術なのか、ステントグラフトなのか」という議論にすすむべきであると考えます。
つまり、まず侵襲的治療を前提としないところから説明を始めてくれる施設がいい施設であると思います。
もちろん、「手術をしないリスク」「手術をするリスク」を正確に説明するためには、豊富な知識と豊富な手術経験が前提となっており、どの施設でもこれができるわけではありません。

2:手術とステントグラフトの両方を選択肢としてバランスよく説明してくれる施設

さて、侵襲的治療をすることになったとすれば、手術なのかステントグラフトなのかを決めなくてはいけません。
それぞれの治療には専門的な「適応」があってどちらかしか選択肢がない場合もあり、またどちらでも選べる場合もあります。
それぞれの治療のメリットとデメリットを十分に説明してくれて、どちらでもいいのか?それともどちらかといえば一方のほうがいいのか?どの位その治療のほうがいいのか?その理由は何か?などを十分に説明して患者さんに納得させてくれる施設がいい施設です。
また、施設によって、手術成績はいいがステントグラフトはほとんどしない、もしくはその逆のこともあり、同一施設での手術とステントグラフトのどちらも行われていれば安心です(そうでない場合には他施設に紹介をしてくれれば問題がありません)。

3:手術(あるいはステントグラフト)の件数の多い施設

客観的に施設のレベルを知る方法として、最も客観的な指標はその施設の手術成績です。
手術成績は「成功率」と「手術件数」にわけることができます。成功率はどの位の割合で手術が成功するかということを表しています。しかし、手術の難しい患者を断って手術のしやすい患者ばかりを手術していれば成功率は高くなるわけで、うのみにできないところもあります。
したがって手術件数こそいい施設の重要な要因であり、手術件数が多い=技術が高い、という図式は一般論として正解だと思います。
それ以外のいい施設の要素として手術を受けた人の評判も重要ですがこれは数字に表れません。
術後の満足度は術後管理の充実と術後の十分な説明を反映しています。しかしこれを知ることはなかなか困難であると思います。

以上、血管内科医が考える、侵襲的治療が必要となった患者を紹介するに当たっての「いい施設」を列記してみました。
どの項目も共通するのは、医学的に十分な根拠に基づいた説明と、それを患者さんと家族に伝えて十分な納得をしてもらうことであると思います。
医師の独りよがりの考えを押し付けるのでもなく、また患者さんの意見のみにひきずられるわけでもない、患者さんの人生観をも考慮に入れた治療選択を、高い技術によってなしうる施設こそ「いい施設」であると信じてやみません。
貴方に手術を勧めた医師にピンとこないのであれば、躊躇なく別の施設のセカンドオピニオンを求めるべきです。
なぜなら、そこは貴方の命を預ける場所なのですから。

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