大動脈瘤の専門医 日本で唯一の大動脈専門医療センター|川崎大動脈センター
大動脈瘤の専門医 日本で唯一の大動脈専門医療センター|川崎大動脈センター

「医療関係者の方へ」


私どもの特色 | 治療目的と治療対象| 手術概要| ご紹介いただく場合| 研究者および医師の募集|医学生、若手医師へのメッセージ|看護師へのメッセージ|

私どもの特色
私どもの特色は、心臓外科医、看護師、麻酔医、体外循環技師を、大動脈診療に多くの実績を持つメンバーで構成しており、大動脈疾患診療を専門におこなっております。 主な診療対象は大動脈瘤・大動脈解離であり、特に、これまでの心臓外科施設では手術成績が不良であった胸部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、急性大動脈解離を中心とし、また、高齢者や臓器合併症を合わせ持つ重症症例を積極的に扱い、良好な成績を上げています。緊急症例に対しても、迅速な対応ができるシステムをとっており、24時間、患者受け入れおよび緊急手術に対応しております。
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治療目的と治療対象
動脈瘤治療の目的
動脈瘤の破裂に伴う重篤な合併症、あるいは死亡という事態を回避することが、動脈瘤治療の唯一のゴールです。
手術適応
動脈瘤では、胸部紡錘状動脈瘤に関しては最大径50-60mm以上、嚢状動脈瘤に関しては発見された時点を手術適応としています。腹部大動脈瘤に関しては最大径45-50mm以上を手術適応としています。ただし、大動脈弁手術時の45mm以上の上行大動脈、および先天性大動脈2尖弁を伴う40mm以上の上行大動脈も手術適応としています。
動脈解離では、急性Stanford A型解離に関しては、血栓閉塞の有無にかかわらず緊急手術としています。
また、急性Stanford B型解離に関しては、
1.持続する胸部痛
2.大動脈径の拡大
3.臓器虚血の存在 破裂例
を緊急手術の適応としています。

慢性大動脈解離に関しては、大動脈最大径50mm以上を手術適応としています。
手術適応外となる因子は、
1.高度意識障害
2.余命2年以内の担癌状態
3.術後も日常生活が期待できないADL
としています。

年 齢
年齢に関しては手術を制限する因子とは考えず、日常生活に問題ない方に対しては、ご家族ご本人のご希望により、年齢の如何にかかわらず手術をおこなっています。

術前評価
呼吸機能:FEV1.0; 0.8L以上、PaO2; 60torr以上(room air)が必要です。
心機能:EF; 0.3以上、有意冠動脈病変に対しては、正中切開症例では同時CABG、左開胸症例はPCI/CABGを先行します。
腎機能:腎機能低下症・HDの有無を問わず手術可能としています。
長期ステロイド投与:手術可能としています。

最近の傾向
紹介患者さんの増加に伴い、いままでhigh riskと考えられていた患者さんが増加しています。重度の合併症を持たれている方、超高齢者、再手術あるいは再々手術例、ステント留置後の動脈瘤拡大例、切迫破裂や破裂例などです。この傾向は、今までは手術不可能と診断されていたcaseが、手術可能であるとの再認識により、私どもに紹介されるようになったと考えています。
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手術概要
それぞれの手術における概要は下記のとおりです。
・大動脈弁疾患
・大動脈弁輪拡張症
・上行・弓部大動脈瘤
・遠位弓部・下行大動脈瘤
・胸腹部大動脈瘤
・腹部大動脈瘤
・急性大動脈解離(Stanford type A)
・急性大動脈解離(Stanford type B)

大動脈弁疾患
通常の弁膜症に対しては人工弁置換をおこないます。狭小弁輪に対しては弁輪拡大をおこなう他、上行大動脈拡大を伴うものに関してはcomposite graftによる置換をおこなっています。

大動脈弁輪拡張症
スタンダードなcomposite graftによる基部再建術のほか、症例によりYacob手術などの弁温存術式/remodelingをおこないます。65歳以上の症例に対しては生体弁composite graftおよびfree style conduitによる置換をおこなうことがあります。手術時間はおよそ5-7時間で、入院期間は2〜3週間程度です。

上行・弓部大動脈瘤
上行大動脈瘤に対しては上行置換術、弓部大動脈瘤に対しては弓部全置換術をおこないます。脳保護法は超低体温循環停止+逆行性脳潅流法でおこないますが、症例により選択的脳潅流法を用いる場合があります。弁膜症や冠動脈狭窄症を合併するものは、弁置換および冠動脈バイパスを追加します。手術時間はおよそ5〜7時間で、入院期間は2〜3週間程度です。

遠位弓部・下行大動脈瘤
基本的に左開胸(第5肋間)でおこない、補助循環は左心バイパスを使用します。置換範囲は左鎖骨下動脈起始部から動脈瘤の遠位側までです。遠位側吻合がT8レベルを超えるものは肋間動脈を再建します。手術時間は3〜5時間で、入院期間は2〜3週程度です。

胸腹部大動脈瘤
第5肋間開胸・胸腹部切開でおこないます。Crawford 機銑祁燭亙篏循環に左心バイパスを使用しますが、Crawford 厳燭蓮⊃嬖欷遒里澆こない補助循環は使用しません。肋間動脈の再建はT8〜T11をおこない、腹部4分枝を再建します。左腎動脈には屈曲予防のためステントを留置します。脊髄保護としてはCSF drainage、左心バイパス、軽度低体温、ナロキソン投与などをおこなっています。手術時間は6〜8時間程度で、入院期間は2〜4週間程度です。

腹部大動脈瘤
MIVS(minimal invasive vascular surgery)による小切開手術(皮切10cm)をおこなっています。これにより、手術時間の短縮(およそ2〜3時間)、入院期間の短縮(1〜2週間)が可能になりました。術後のイレウスは皆無となっています。

急性大動脈解離(Stanford type A)
血栓閉塞の有無にかかわらず、全て緊急手術としています。急性解離には安定している状態はなく、一見安定しているように見えてもentropyの非常に高いところでの安定であるため、ひとたび変化が起こればcatastropheにつながると考えるからです。手術手技は、真腔血流の確保、解離腔閉鎖、entry切除を手術目的とし、上行置換、Hemiarch repair、弓部置換を選択しています。手術時間は5〜7時間です。術後は、急性解離術後リハビリテーションプログラムに従い、3〜4週間の日程でリハビリをおこないます。

急性大動脈解離(Stanford type B)
Stanford type Bの手術適応は、
持続する胸部痛
大動脈径の拡大
臓器虚血の存在
破裂例
です。
しかし、いつの時点で手術治療に転換するかの判断は非常に難しいため、当センターでは、手術適応の有無にかかわらず急性大動脈解離患者の受け入れをおこなっています。
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ご紹介いただく場合
まずは、コーディネーターにご連絡ください
ご紹介後は、コーディネーターより患者さんに直接ご連絡を差しあげ、外来診療の調整をおこないます。
超高齢者、脳梗塞・心不全・腎不全・全身性疾患等の既往がある場合、他の心疾患との合併例、その他いわゆるハイリスク例など、また、他の心臓外科施設で手術を断られた場合などについても、ご遠慮なくご紹介ください。
※胸部レントゲン上、大動脈疾患が疑われた時点でも結構ですので、ご紹介いただければ、確定診断、治療方針等をお返事させていただきます。
※患者さんご本人あるいはご家族から当センター・コーディネーターまでお電話をいただいても結構です。外来診察日をご相談のうえ決定いたします。事情により、ご本人またはご家族が来院できない場合、また、ご本人が入院中であるなど特別な場合もコーディネーターへご連絡ください。
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研究者および医師の募集
研究者
大動脈に関するすべての基礎研究に関して、興味と情熱をもたれている研究者を募集しています。経歴を問わず、大動脈疾患研究を志す研究者を求めています。

外科医師
大動脈外科は、現在のところ独立した診療科ではなく、さらに、わが国の心臓血管外科の中では、大動脈外科という認識も確立されていません。そのため多くの手術実績を持ち、胸部大動脈瘤手術や急性大動脈解離手術を含む大動脈外科の系統的トレーニングプログラムをおこなっている施設は非常に限られています。私たちは、大動脈外科を専攻しようと志している外科医の参加を歓迎します。経歴は一切問いません。豊富な手術症例数に基づく実績と、一貫した手術手技、治療方針による系統的治療をおこない、大動脈外科を専門とする大動脈外科医の育成をおこないます。

内科医師・放射線科医師
大動脈医療もただ手術によるだけでなく、原因治療・予防医学をはじめ、内科治療が求められる時代となっています。カテーテル治療に偏らず、血管疾患全般を内科的視点から見ることのできる医師を募集しています。また、EVAR等については、川崎幸病院・大動脈センター<血管内治療部門>として独立しており、担当する循環器内科医師および放射線科医師も合わせて募集しています。

看護師
大動脈センターでは、専属看護師を募集しています。2011年の新病院移転・大動脈センターの増床に伴い、意欲のある看護師の参加を歓迎します。大動脈疾患、心臓外科、あるいは集中治療看護、呼吸器管理などに興味のある方は御連絡ください。

コーディネーターまでご連絡ください 手術見学や短期間の研修も常時受け付けています。また、入局・長期研修についての相談も随時おこなっています。お問い合わせは、コーディネーターまでお願いします。

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医学生、若手医師へのメッセージ
川崎大動脈センター長・山本晋
私たちは…
川崎大動脈センターは大動脈治療の専門施設です。例えれば、すし屋です。しかも、飛び切り美味い寿司を喰わせるすし屋です。日本一の寿司職人を目指すように、川崎大動脈センターには日本一の大動脈スペシャリストを目指す外科医が集まります。この分野では絶対に負けない、そのようなエキスパート、スペシャリストを目指している医学生、研修医、そして若手外科医にウチの門を叩いて欲しいと思っています。

患者が求めるのは…
ある医療雑誌に患者によるアンケートの記事が掲載されていました。患者が病院で「満足している」と回答した最も多い答えは、「やさしく笑顔で接する」「説明が丁寧で詳 しい」だったそうです。逆に「不満」との答えで最も多かったのは「医師の態度が悪い」「病状説明が少ない」だったそうです。
別の大学病院や総合病院で大動脈瘤の診断を受け、手術を勧められたが納得せず、川崎幸病院・大動脈センターを訪れる患者がいます。なぜ納得しないのでしょうか。患者は医師から、手術の難易度・危険性をことさら強調された挙句、「死んでも良いのなら手術をしましょう」とか、「一か八かなら手術をしましょう」と言われたそうです。手術しないのも危険、するのも危険。こんな話を「やさしく」「丁寧に」されたところで、どうしたらいいのかと患者は途方に暮れてしまいます。 手術中に事故が起これば何でもかんでも「手術ミス」と言われる今の風潮があります。医療訴訟は日常茶飯事です。この様な状況下では医師は萎縮し、インフォームドコンセントと称して手術の危険性を強調せざるを得ないのも事実です。
しかし、医師は患者から信頼されるべき存在でなければなりません。患者が納得できなかったのは、医師がやさしく丁寧に説明しなかったからではなく、その説明の裏に、医師の手術に対する確固たる自信を見いだせなかったからではないでしょうか。そのような医師に命を託すことはできないと考えたからではないでしょうか。 毎日の診療を通して確信したことは、いま、僕ら外科医に求められているものは、患者に媚びを売るような接遇などではないと思っています。僕が大切にしたいのは、外科医である自分の仕事に対する誇りと自信を、堂々と患者に示す姿勢なのです。そして、そのような誇りと自信は、手術哲学に裏付けられた確固たる手術技術によってもたらされるのです。

まずは哲学から…
外科医にとってもっとも重要なものはなんでしょうか。手術技術でしょうか、それとも人間性でしょうか。僕は、哲学がもっとも重要であると考えています。"哲学を持て!"これは、昔、大先輩から叩き込まれたことです。当時は、なにが哲学なのかサッパリわかりませんでした。
哲学という言葉の中には、志、理想、夢、理念、いろいろなものが含まれ、とても一言では言い表せないものです。しいて言えば、"何で外科医(あるいは手術)をするのか"の「何」にあたるものではないかと考えます。これが無い外科医はいけません。手術が上手くなりたい、教授になりたい、なんていうのは小さい小さい。もっと、大きな「何か」を持ってもらいたいのです。
「何か」が大きければ大きいほど、やっていることの意味は無限に広がります。"手術が上手くなりたい"と思っている外科医には、上手くなった後はどうするの? と聞きたい。"教授になりたい"という人には、なったらどうするの? と聞きたい。坂本竜馬は北辰一刀流目録だったそうですが、だから何なの? ということです。その剣を何に使うのかが問題なのです。ただ、剣術が達者であるだけなら、道場師範が関の山です。手術が上手くなってもそれを何に使うのか、何のために手術の修練に励むのかということを、自分の考えとして持っていなければ、ただの手術の上手い外科医で終わってしまいます。

手術の学び方について…
大動脈外科の手術は、心臓血管外科の手術の中でも技術的に難しいものが多く、また、患者の数が、一般の心臓外科の手術と比べるとはるかに少ないことから、ひとつの病院での手術件数が極端に少ない手術です。難しいうえに、症例が少ないのですから、外科医からしてみれば"うまくなる可能性が極めて低い"手術です。
実際、大学病院などの心臓外科でも、大動脈手術件数の非常に少ないところでは、手術成績が極端に不良であるところがあります。僕たちには、このような手術の治療成績をあげて、しかも若い医者の教育を確実に行うことが求められています。
そのひとつの方法として、僕がよくたとえ話にするのが、沼地を歩く方法というものです。目の前には、一面に水をたたえた沼地が広がっています。向こう岸まで行くには、この沼地を横切らなければなりません。しかし、不用意に足を踏み入れれば、足をとられ、おぼれてしまいます。さて、どうやって渡ればよいでしょうか。そこで、あなたは、かつてこの沼地を何人もの人が歩いて渡ったという話を聞きます。あるいは、今、まさにあなたの前を、歩いて渡っている人がいるとします。実はその沼地には、水面からは見えませんが、大きな踏み石がいくつも水面下に隠れていて、その踏み石の上を踏んでゆけば、水に落ちることなく向こう岸までたどり着けるのです。つまり、踏み石の場所が判かれば簡単に渡れるという事です。一度も水に落ちずに、渡った人のつけた足跡を正確にたどっていけば、確実に向こう岸まで渡れるのです。
しかし、ここで渡っている最中にいろいろな誘惑が起こります。「こっちに行ったほうが近いのではないか…」。そして、前の人のつけた足跡より、近そうに見えるところに足を踏み出します。どうなるでしょう。その人は水に落ちておぼれてしまいます。
大動脈の手術もまったく同じことが言えます。経験の少ない大動脈手術を繰り返すことを例えれば、歩いたことのない沼地を、何度も自分から水に落ちて、痛い思いをして、踏み石のあるところを体で覚えるようなものです。心臓外科医の中には、経験のほとんどない大動脈手術に手を出して、散々な目に遭って、「もう、二度とこんな手術には手を出さない…」と心に誓ったはずが、一年ぐらいすると、もう忘れてしまって「今度はうまくいくかもしれないからやってみよう」といって、同じ過ちを何度も繰り返している懲りない外科医がいます。
手術を学ぶ方法は簡単です。まず、踏み石の場所を知っている先輩を探すことです。そして、その先輩の足跡をひたすら正確にたどることです。こうすれば、外科医としての初期段階は達成します。

僕らが目指すもの、その1
手術成績の向上に必要なのは手術方法の標準化です。判りやすく言うと、ある程度の技量を持った外科医であれば、誰でも出来るような手術方法を作ることです。よく言われる、"神の手"を持った外科医にしかできないような手術の対極に位置します。標準的な手術方法とは、"平均的な結果の出る手術方法"とはまったく違います。標準的な手術方法は、誰にでも反復、模倣が可能な、できるだけ単純化された手術でなければなりません。「箸でメシが喰えるくらいの器用さがある外科医」であればできる手術です。
標準的な手術方法は極限まで単純化され、系統的に整理されています。したがって、いくつかの手術手技ができるようになれば、後は手順をすべて確実に覚えることによって、大きな手術もよどみなく執刀できるようになるという理屈です。たとえれば、時計の部品を一つ一つ丁寧に、緻密に、間違いなく組み上げていくという、きわめて地味な作業の工程を作り上げることです。

僕らが目指すもの、その2
手術技術を標準化し、成績を向上させ、それを後輩に伝える。これが僕らの使命です。そしてさらに、後輩が自らの力で大動脈医療をさらに発展させていくことができる土壌をつくることです。哲学を身につけ、確実な手術技術を身につけた後輩には、今度は自分の力で大動脈医療を発展させていって欲しいと思っています。
2003年の川崎大動脈センターの開設から5年が過ぎ、大動脈センターとしてのソフトウエアは完成しました。今、川崎幸病院は2011年の新病院移転に向けて、新大動脈センターの設計を行っています。医師、看護師、CE、事務職員が総出で、喧々諤々の議論を昼夜問わず戦わせ、世界にも類を見ない、大動脈専門施設を作ろうと頑張っています。そして、この新施設のもとで、10年後あるいは20年後の大動脈センタースタッフがすばらしい医療を展開してくれることを夢見ているのです。

最後に…
ここに書いたことは、実はウチの若い連中を連れて呑みに行った時、語って聞かせることなのです。何年もいるやつは何度も何度も同じ話を聞かされています。まあ、こんな話に興味を持った人がいれば、僕らの熱い志に触れてみたいと思った人がいれば、手術見学にでも来て下さい。大歓迎です。
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看護師へのメッセージ
川崎大動脈センター科長・田中亜由美
私たちはプロフェッショナルです…
近年、特定分野のスペシャリストとして認定看護師や、専門看護師制度が主流となり、広く浅いジェネラリストから、特定分野に精通したスペシャリストへの要求が高くなっています。私達の大動脈センターはそういった流れを汲み、煩雑な疾患の入り組んだ旧来の混合型ICUから脱却することを一つの目標として、大動脈疾患看護のスペシャリストになるべく大動脈センター治療室(ACU:Aortic Care Unit)を立ち上げました。
大動脈センター治療室(ACU)の開設に至るまで…
正直なところ、それまで勤務していたICUの業務、看護、医療に対して、いろいろな意見や疑問を持っていた私は、結局ICUという職場に希望を見いだすことができず、3ヶ月後の退職を決意していました。そんな中、川崎大動脈センターに、大動脈疾患の専門ICU(後にACUと私たちが命名しました)を設置するという話が持ち上がり、その設立作業を依頼されることになりました。
私にとってACUの開設は「怒涛の嵐の渦であり、果たしてこの渦中に飲み込まれてよいものか…」と相当悩みました。当時の私は、華やかな新しい職場がすでに決まっており、そこに後ろ髪を引かれながらも、自分たちの理想は自分たちで作り上げていくしかないのだと悟りこのプロジェクトに参加しました。
実際、ACUの設立は難産でした。まず、人です。病院内はもとより、院外のツテもたどり、有志を集めました。勤務場所も異なる有志が集まり、昼夜を問わず、医師らも交えてディスカッションを重ねました。このような作業を通して、まだ一緒に働いてもいない看護師や医師の連帯感が少しずつできあがってきました。休日も返上してベッドの配置や備品の位置など、細かい打ち合わせもし、寝る間を惜しんで新しい病棟について論議することに充実感と達成感を感じるようになりました。そして、およそ半年間の準備期間を経て、2007年4月大動脈センター治療室(ACU:Aortic Care Unit)が完成しました。
大動脈センター治療室(ACU)とは…
従来、大動脈疾患の患者さんは一般病床へ入院し、一般病床から手術出し、術後はICUで術後管理を行い、回復期はまた一般病床に戻りリハビリを行うというシステムでした。これに対してACUでは入院から術前、手術直後からリハビリに至るまで、1看護単位、ワンフロアでの一貫した看護を可能としました。術後管理のための転室移動は、患者さんとその家族に、術後の経過に対する不安に加え、慣れない未知の場所に対する不安を抱かせてしまいます。ACUでは、術直後も同様のフロアでの看護を可能としたことで、その不安を取り除き、患者ベッドの移動を少なくしました。
ACUでの看護師は…
ACU看護師は入院から退院まで、手術中を除くすべて場面で患者さんのcareを行います。したがって、ACU看護師には、大動脈疾患看護の専門知識・技術はもちろん術後の超急性期から回復期に至るまでの豊富な知識・技術が要求されます。
個別の患者情報に関しては、毎朝始業前に術前カンファレンスを行っています。当日と翌日の手術患者の画像を含めたすべての情報を供覧し、既往から術式まで医師・CE・手術室スタッフを交えて情報の共有をおこないます。術前カンファレンスに引き続いて、入院している全患者のカンファレンスを看護師・医師で行い、また週に一度、PT、STや栄養科職員も同席しての入院患者カンファレンスを主催しています。
教育と技術協力
ACUでは昨年約1年間、中頭病院(沖縄・協力病院)からの研修看護師を受け入れ、大動脈疾患術後患者管理のスキルアップと教育支援をおこないました。今後は大動脈看護技術の普及のため、院外での交流研修等を計画しています。国内では協力病院である中頭病院(沖縄)、岡本病院大動脈センター(京都)、国外ではMacati Medical Center(フィリピン)、BMA medical college and Vajira Hospital(タイ)などとの連携を行い、私たちの看護技術を広く広めてゆきたいと考えています。
より高いものを目指して…
ACUは大動脈疾患治療専門ユニットであり、循環器科領域では国内初の独立型ユニットとして存在します。より高い専門性とモチベーションを持つ専門家集団として発展し、質の高い大動脈疾患看護の確立と、大動脈外科エキスパートナースの育成に努めています。また、豊富な臨床データを基にした学会発表、論文発表も積極的に行っています。さらに、看護師にとって理想的な労働条件や労働環境について、独自の提言もおこなってゆきたいと考えています。
一緒にやりましょう!
看護師は国家資格を持った専門職です。その専門性をさらに高めて、国際的にも評価される本当のプロフェッショナルを目指したいと思いませんか? これまでの内容を読んで、「面白いかも…」「やってみようかなぁ」と少しでも思われた方はいつでも連絡いただければ施設見学のご案内をします。また、「経験がないから無理かも…」「難しそうで敷居が高い」と思われた方は、是非見学に来て、私達がどのように患者さんと接し、働いているかをご自分の目で確かめてください。そもそも私たち自身が経験のないところからスタートしました。私たちが一番大切にしているのは、ここで働いてみたいという意欲です。心臓外科、循環器科の経験が全くなかったスタッフも現在頑張って働いてくれています。2011年の新病院開設に向けた計画も着々と進行中です。是非私たちと一緒に、ACUで本当のプロフェッショナルを目指しましょう。
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TEL: 044-544-4611
お問い合わせ
MAIL:kawasaki@daidomyaku.com
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